第2のお母さん

先生はめっちゃ怖くて、
手の甲を叩かれたりは当たり前。
「練習しいひんねやったらレッスン代ムダやから、やめなさい!」
なんて、16年間で何回も何十回も言われたっけ…笑
そんな私が、高3の頃。
先生は乳ガンになった。
末期で、全摘。
手術のあとも抗がん剤の影響で、ピアノのレッスンが休みになることもしばしば。
「薬を飲み続けないと死ぬ」
って言われてた先生は、
辛いガン治療を今日までずっと続けてた。
私は、今年の4月に幼稚園で働き始めた。
だからピアノに行くこともなく、自分の仕事でいっぱいいっぱいで、すぐ隣りの先生のお家にも全然行けてなかった。
「1レッスン1000円でやったあげるから、いつでもおいでや?」
そう言ってくれてたから、お遊戯会の曲はお願いします!
って言った。
そやのに、8月の後半に先生は倒れたらしくて、救急車で運ばれた。
私は友達と旅行なんか行ってて…
お母さんに「治らんらしいわ」って聞いた。
それでも、私は「先生のことやから、また元気になって帰ってくるって!」
って言った。
その時に、メールとか、電話とか、しとけばよかった。
今日、さっき、家に電話がかかってきた。
お父さんが出てくれた。
「ピアノの先生亡くなって、いまから家に帰ってくるねんて。お前、挨拶しにいけよ。」
え?ってなった。
まだ、実感なくて、ただ、喉が異常に渇いて、無意識に手が震えてる。
会いたくない。
現実を見たくない。
もっと、話したかったのに。
いっぱい、いっぱい、いっぱい。
後悔ばっかり。
ほんまに大好きで、私にとって、いっぱい愛を与えてくれた先生。
いっぱい叱られたし、「Mはお見合い結婚やわ!」って言われたりしたけど、
結婚式に呼ぶのが当たり前と思ってた。
車の音を気にしながら、待ってるこの時間が苦しい。
吐きそう。目眩がする。
‘死’って言葉をはじめて身近に感じた。
会いたくないよ。