未だ知らぬ祖父

知らないというか写真でまだ小さかった姉をあぐらに乗せた真顔の祖父の顔しか知りませ
ん。
家族写真もなく、友人と一緒の写真もなく、祖父の写真はそれ一枚。
祖父とは話した事もないし、面識もないし。

父から聞く祖父の話は厳格で乱暴で、いい所なんて聞いた事もなかった。
ある時は父を気絶させる程の暴力をした事もあったらしい。

でも父は祖父を悪く言った事はなく、どちらかというと尊敬してるみたいだった。

私はそんな父を信じられなくて祖父には悪い印象しかなかった。

私が中学になって、テレビで一度は死にかけた。みたいな話を芸能人が話してるの見てた
ら父が祖父の死に際の話をしてきた。

祖父はガンで死んだらしく、死に際は家族にみとられて死んだらしい。
まだ生まれたばかりで幼い私も母に抱かれてその場にいたらしい。
危篤状態の祖父。もう口もきけない程弱ってたのに、ふと祖父の目が私を見付けた。
危篤状態でもちろん起きる事なんで出来ないはずなのに、いきなりむくっ、と起き上がっ
て「こう!」と叫んで笑顔で私を抱かせてほしそうに手を伸ばしたらしい。どちらかとい