勇敢

930 名前:人間七七四年[] 投稿日:2009/06/30(火) 23:02:49 ID:/N/5Ec5j
立花道雪 若者は斬らず

道雪は世間に聞こえた人格者であったが、規律には厳しかった。
勝手に陣から抜け出した兵達を、見せしめに処刑した事もあった。

ある時、道雪の近習の一人が、同じく道雪の女中と不義密通をして
しまった。この事は瞬く間に立花家内で広まった。さぞ、道雪様は
お怒りであろうと推察した他の近習が、道雪に進言した。
「道雪様、あの者は不義密通を致した不届き者。成敗致しましょう。」
だが道雪は言った、
「ばかもの。若い男が女に溺れる事はあたりまえだ。あいつは若く、
まだ分別の利く様な歳ではない。そんなことで、あたら若者を斬る
事など出来るか。心配せずとも、あいつは戦では他の誰より勇敢に
戦うさ。」
進言した近習、そして周囲の者も、それ以上若者を非難する事は
無くなった。

だが、道雪の言葉を人伝に聴いた若者は、その後女中と会う事を止め、
程なく起きた戦で一番に敵中に乗り込み、討ち死にした。
若者の討ち死にの報を聞いた道雪は、涙を流しながら手を合わせ、
近習につぶやいた。
「見よ、あいつは誰よりも勇敢であったであろうが…」

道雪も近習達も、若者の死を深く悼んだと言う。